Mathematicaとは?
Mathematicaとは、Wolfram社が開発した数式処理システムです。
「ノートブック」と呼ばれる対話型のインターフェイスを使い、数式処理プログラミングを行います。
工学系で数学を使う人たちにとって、記号・図形および数値処理に強力な記号代数ツールで有名です。
数式処理システムでありながら、数値計算と数式処理、グラフィックス、プログラミング、ドキュメンテーション、他のアプリケーションとの高度な連携機能、などを統合したソフトウェアでもあります。
また、数値は他のプログラム言語のように「型」にとらわれる事なく、無限を扱う事ができる言語です。
その応用範囲は広く、初心者から専門家までをカバーする一方で、 医療やAIなど幅広い分野で使用されています。

Mathematicaで出来ること
Mathematicaで出来ることは、大きく分けて2種類あります。
- 計算・数式処理
- プログラミング
計算・数式処理
計算処理を行う場合は、数字や計算式を入力して実行します。
一般的な計算記号(円周率π、三角関数sin,cos,tan)を使用することができ、関数電卓代わりに使うことも可能です。
数式処理を行う場合も、数式を入力して実行します。世にある数学の公式のほとんどを扱うことができます。

プログラミング
プログラミングに必要な関数や変数など定義することができるため、数式を解いてグラフを作成したり、複雑なプログラミングを行うことも可能です。
Mathematicaの使い方
起動
Mathematicaは、WindowsやMac、LinuxなどのOSにインストールすることができます。
スタートメニューやトップ画面からアイコンをクリックして起動します。
初回起動時は、ライセンス入力画面が表示されるかもしれません。自分のライセンス番号を入力してアクティベートすれば、次回起動からは表示されなくなります。
起動後、新規ドキュメント(Untitled-1)のウィンドウがノートブックです。Mathematicaでは、このノートブックに数式等を入力します。

新規ノートブック
数値・数式処理
ノートブックが立ち上がったら、テキストや数値、数式を入力します。
注意ポイント
数式を入力する際、アルファベットは半角でなければエラーとなります。

数式の入力
式を入力したら、「Shift+Enter」または「10キー側のEnter」を押し、数式を評価します。

数式の評価
行の左端にある青い文字「In[1]」は1番目に評価した数式を示し、「Out[1]」は1番目に評価した結果を示します。入力した数式を評価した後に自動的に付与・表示されます。
ノートブックの保存
ノートブックで入力した計算式、および計算した結果を保存したい場合は、[ファイル]タブの[保存]を選択し、保存先ディレクトリとファイル名を指定して保存します。
Mathematicaの簡単な使用例:ベクトル代数
ここまでお読みいただいた内容からだと、「結局電卓としてしか使えない」と誤解を与えるかもしれません。そこで、ごく簡単なベクトル代数を解く例を紹介します。
ベクトル代数の例題
下図の通り、3本のケーブルがしっかりと壁に取り付けられています。
ケーブルの張力は、F1=500 [N]、F2=400 [N]、F3=700 [N]です。
角度は、Θ1=30 [deg]、Θ2=50 [deg]です。
合力の大きさと方向を求めなさい。
例題の解答
入力する数式
1 2 3 4 5 6 7 8 |
f1 = 500{Cos[30 * Pi / 180], Sin[30 * Pi / 180]} f2 = 400{1, 0} f3 = 700{Cos[50 * Pi / 180], Sin[50 * Pi / 180]} fr = f1 + f2 + f3 N[Sqrt[fr . fr]] ArcTan[fr[[2]] / fr[[1]]] N[% 180 / Pi] |
評価結果
上記より、合力の大きさは「1504 [N]」、方向は「31.5 [deg]」と計算できます。
力学やベクトル代数の説明はおいておくとして、Mathematicaを使用すると三角関数や平方根、行列をいとも簡単に扱えることが分かると思います。
また、三角関数で扱っている円周率「π」が、手書き計算する時のように「π」として扱われていることが分かるでしょうか。つまり、Mathematicaは「π」を有限な数値ではなく、無限桁の「π」として扱われているということです。
以上、「【入門】Mathematicaの基本的な使い方と使用例」でした。